アプサントを飲む男 エドゥアール・マネ



印象派の創設に影響を与え近代美術の父とも呼ばれる、フランス画家エドゥアール・マネの初期の代表作(1859年頃)です。
マネは1850年からトーマス・クチュールのスタジオの学生になりましたが、時間が経つにつれて彼はクチュールのサロンスタイルを嫌うようになり、その後1856年に自分のスタジオを設立しました。本作の写実主義(※1)的描写は、マネが学んでいたクチュールとの決別の表れでもありました。
それでは具体的に観て行きましょう。
本作に描かれているのは、ニガヨモギの根から抽出する「アプサント」と呼ばれた安価で毒性の強い緑色の蒸留酒の水割りを飲む路上生活者です。この路上生活者はマネの近所に居たコラルデという男をモデルにして描かれており、社会的、文学的な主題への関心を示した、最も初期の自然主義的作品としても重要視されています。
この頃、パリではアプサントを始めとする度の強い酒による重篤なアルコール依存症が社会問題化しており、1900年代初頭にはアプサントの飲酒は禁止されることになります。
本作に描かれるアプサントのほか、地面に転がる酒瓶、男の纏う古着の黒衣などは、マネが学んでいたトーマス・クチュールとの決別である共に、社会性や文学性を帯びた絵画への挑戦でもありました。
※1:写実主義:実の自然や人間の生活を客観的に描写しようとする様式。
デンマークのニュー・カールベルク美術館(コペンハーゲン)所蔵
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